一村さんへの手紙 2017年9月

才能に満ちあふれた若い頃の作品、おだやかな光が見えるようで烈しさを感じる
奄美の作品。どれも本当に心に残るものでした。
絵が、どこか遠い所へ連れて行ってくれる、誰かの思いを見せてくれる、そんな気がしました。
1つの事にかける情熱が反映されている作品を見ていたら、自分の生き方についても、
新しい考えが生まれてきました。鉛筆でスケッチされていたアダンを見ていたら
涙が出てきました。沢山の絵をありがとう。
また一村さんの絵が見たくなり奄美にやって来ました。
南の島の植物に引き込まれてしまった気持ちが少し分かる気もします。
枇榔の黒い葉っぱの絵はやはりすごいですね。
ただある自然が、本当はものすごい事だということを感じました。
明日は本物の奄美の森に行く予定です。一村さんの気持ちになってじっくり葉っぱを見て来ます。
田中一村翁へ
やっと念願叶って海路来島しました。2017年9月30日、空は蒼く大陸からの涼風が吹いています。
その才能を信じ独り身で見守ってくれたお姉様の死は、どんなに辛かったことでしょう。
奄美の美しさを誰よりも理解し描き、世に伝えてくれました。その感動を私も感受し、島をあとにしたいと
思います。
生前苦労の多かったあなたですが、あなたの作品や生き方は心ある人々を永遠に魅了するでしょう。
奄美の海の色と奄美の動植物に注がれたあなたの視線をそこに美の真実を捉えた心の眼に敬意を表します。
幼少の頃より発揮なさっていた見事な画才に感服するばかりです。
自らの絵を極めるために生涯結婚をせず制作に没頭するという姿勢には、
本当に尊敬の念しか思い浮かびません。正直この場に来るまで一村氏の名を知りませんでした。
ですが貴方の絵を拝見して、どうして一般の知名度があまり高くないのかと疑問に思えてしまう程に
素晴らしい貴方の絵に感動しました。どうか天国の地で、自分の描きたい絵を好きなように好きなだけ
描き続けてください。
ずっと来たかったので来られて感動しています。
植物、木、花、葉が生き生きとしていて、鳥や蝶、魚も自然の美しさを
そのままに画面に描かれていて本当にすばらしいです。
30点の奄美の作品すべて見てみたいです。