一村さんへの手紙 2020年10月

ぼくは絵を書くのが大好きです。
一村さんの作品は、一つ一つちがう表現がされていて、とてもそんけいします。
本日のフライトで神奈川に戻る予定でしたが台風のためキャンセルとなり、田中一村記念美術館に来ました。
今まで美術館に行きたいと思ったことはなかったけれど、今日来てみてもっと沢山のアートと触れてみたいと思いました。
一村さんの生き方がかっこよく、私も死んだ後にも名前が残るような人になりたいと思いました。
ご縁をありがとうございます。
本日、母の念願だったこちらの美術館に連れて来ることができました。
絵を観るだけではわからないあなたの大変だっただろう人生。絵を描きたいだけなのに、病や家族の不幸など、思うように行かない時期…。
私達母子もいろいろな困難がありましたが、ようやく落ち着いて暮らし、主人のお陰で母との旅を楽しめるようになり、母の念願の一つを叶えることができました。
一村さん、母に素敵な時間を過ごさせて頂き、ありがこうございます。
あなたの様に、これからも謙虚に生きたいと思います。
画才に恵まれながら、諸般の事情で画業に専念できない時が多かったようですね。
しかし、南国高温多湿のこの奄美で、大地と袖に培われたあなたの力は、より一層、哀愁と力強さと、そして複雑な美の陰影とに裏打ちされたものになり、人の心を激しく揺さぶるものになっていったのがよくわかりました。
奄美に来て、あなたの作品と出会え、本当に良かった。
「アダンの浜辺」…いつか見たような光景を感じ、これが好きです。
70才を越えてから、一村さんに逢いに来るのがこれで3回目です。
ずーっと若いときから憧れていたのが、この年齢になって少しゆとりができ、来れるようになりました。
私も絵の勉強に励んだ時があり、いろんな画家の絵を模写しましたが、ゴッホと一村の絵が一番好きです。
後残り少ない人生。すてきな絵を観ることに専念したいと思います。
ここに来てゆっくりとした時間と感動する絵に囲まれた至福の時を過ごせる幸せを感じたら…ありがとう。