総合展示ホール

奄美の自然と暮らしの様子を実物大模型や映像で紹介します。

 奄美は四方を海に囲まれ、切り立った山を背に集落が挟まれる形で、シマを形成している。この海、集落、山という地形の構造は、同時に奄美の歴史、民俗、文化にも深く大きく関わっている。
 総合展示ホールは、奄美の集落をモデル化し、海の道、テーマウォール、シマの道、森の道、4つのゾーンごとに、実物大の模型や写真、映像等で、奄美を見て知って体感してもらうもの。観光客はもとより地元の人たち、そして次代を担う子どもたちに、奄美の歴史を包括した独自の風習や民俗、文化を分かりやすく理解してもらう趣旨で構成されている。

 鹿児島本土から台湾にかけて、およそ1200キロにわたって飛び石のように連なる島々。これらのちょうど中ほどに奄美群島があり、喜界島(きかいじま)、奄美大島(あまみおおしま)、加計呂麻島(かけろまじま)、与路島(よろじま)、請島(うけじま)、徳之島(とくのしま)、沖永良部島(おきのえらぶじま)、与論島(よろんじま)の8つの有人の島を総称していう。
 また、奄美群島は交通や交易の中継地として、黒潮の流れの中に位置することから、古くから人やモノがこの島々を行き交ってきた。南東の産物を求め渡ってきた北からの人や文化、黒潮にのって南から寄せてきた人や文化が出合い交わるところに、奄美の豊かな文化が生まれた。豊穣をもたらすといわれている海の彼方の理想郷・ネリヤカナヤ、姉妹(ウナリ)が兄弟(イヒリ)を守るウナリ神信仰、豊穣と安寧を願って行われるノロ(注1)の神祭り。「奄美のこころ」は、この海幸と山幸の恩恵を受けて育まれてきた。

 奄美のシマ(集落)の多くが、山を背に海に面している。シマの背後にはカミヤマ(神山)と呼ばれる山があり、ここにシマを守る神、テルコの神(山幸の神)、ナルコの神(海幸の神)が降り立つ。はるか彼方の海には、神が住む豊穣の国、ネリヤカナヤがあり、目の前の海には、このネリヤカナヤから神が渡ってくる小さな島、立神が見える。集落近くの森とイノー(潮だまり)までが人の住む世界、そこから先は神の領域。この山と海との間で、人々は田畑を耕し、自然の恵みを受け、神々に守られて暮らしてきた。
 シマの中心部にはミャー(神を祀る清浄な空間)やトネヤ、アシャゲなどの祭場があって、シマの祭祀空間を形づくる。カミヤマと浜、それぞれからカミミチ(神道)がミャーに向かってのびており、祭りの日、この道を通って神がシマにやってくる。人々は神を迎え、もてなし、そして再び神の世界へと送る。シマは神と人とが出会う場でもある。
 シマにはまた、神が宿る聖なる川や泉、岩、巨木などがある。自然や事物には霊的なものが偏在し、諸現象はその働きによるとする精霊信仰と、シマを守護するノロへの信仰などが、シマの今日の文化に大きく影響している。

 古来、奄美の人々は月の満ち欠け、星の動き、季節風、渡り鳥の飛来などを読んで暮らしてきた。新暦が一般的になった今日でも、奄美では多くの祭事や行事が旧暦で行われる。
 冬。12月の正月豚に始まる新年の行事。シマ(集落)は新たな年を迎える。黒糖づくりの最盛期。
 春。田植え、サトウキビやサツマイモの植え付けが行われる。サンガツサンチ(旧暦3月3日)の節句、稲作行事の虫送り、そしてネリヤカナヤから神を迎えてもてなし、再び送るノロの神事、オムケとオホリ。
 夏。稲の初穂を祝うアラホバナ、ノロの収穫祭フーウンメ、ミニャクチ。先祖が帰ってくる盆。そして、稲の収穫を終え、人々はミハチガツを楽しむ。
 秋。旅に出ている家族の無事を祈るハマガンがシマの浜辺で見られる。
 そして再び冬。イモの収穫を感謝する一年最後のノロの神事フユウンメ。
 たて糸と横糸の長く緻密な交差から一枚の布ができるように、ノロの神事、ユタ(注2)の祈り、年中行事や人生儀礼、そして日々の暮らしがいくえにも折り重なって、奄美の豊かな一年が繰り広げられている。

(注1)ノロ:奄美が琉球国時代、王府から任命された職務で当時国家行事を司るカミンチュ(神人)。「女の姉妹は神様である」というオナリ神信仰の観念を基に、16世紀に琉球王府によって制度化された公的な神組織。琉球国王の尚真王(しょうしんおう)(1477~1526)時代には王の女の姉妹が、一番最高位である聞得大君(きこえのおおきみ)という役職に就く。その下、大阿母知良礼(おおあむしられ)やノロ神が、それぞれ琉球国王から任命書をもらい受けて任命される。ノロ神は女性のみで代々世襲制なのが特徴である。

(注2)ユタ:神がかりなどの状態で神霊や死霊など超自然的存在と直接に接触・交流し、この過程で霊的能力を得て、占いとかお祓いなどで、個人の悩みや苦しみの相談にのる。

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奄美シアターでは、「亜熱帯の輝き―奄美の海と森の物語―」を上映しています。
黒潮に育まれた亜熱帯の島、奄美。独自の進化を遂げてきた神秘的な自然や固有の動植物の力強い姿、そして自然とともに暮らす人々の姿を高品質な映像、サウンドにより立体的な音響で情感豊かに描き出します。
【上映時間】
毎時15分・45分(約20分間)
最終上映は5時15分
(夏期期間中は6時15分)

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