一村さんへの手紙 2021年11月

すてきな絵がたくさんで、一村さんの世界かんがとても気に入りました!
俳句や書簡の展示があって、一村さんの心のうちが少しのぞけました。
 自分の良心を納得させるための絵を…。ひとりになっても絵を離さなかった姿に敬服します。代表作の濃い緑の絵の前で、作者の魂が伝わってくるようで、涙が出てきました。本当にお疲れさまでした。
あなたの絵を観たくて、ここ奄美にやってきました。楽しかったでしょう。全て異心を除き、描きたい物だけを描き、それをおもうように表現できる技術を持ち、魂も充実しているあなたが描くものには神が宿ります。
 だれの評価もあてにせず、描きたい物が満ちる奄美で描きたいだけ描けた。しかし余りに短い9年間だったのかもしれません。
しかしあなたは独りで頑張られました。同じ年齢なのでより分かる気がします。やはりここに来て良かった。
亡くなられた一村さんと同じ年齢の私が、その心境をはかることはできない。しかし、まだまだ描きたかったと思う。描きたい物が多くあったと思う。存分に表現する力があり、その中に込める魂も充分に満ちていた。ただ、命が足りなかった。
 現在の賞賛や富貴とは無縁だったが、晩年は特に幸福だったと思う。描きたい物を存分に表せる幸福。
 冬日さす 奄美に遺す 絵筆かな
2度目の来訪です。一村さんの絵を観るたびに心が癒やされます。奄美自然美の細かい所まで丁寧に描かれていて、よく観察してますこと。自然と向き合う彼の心はどんな心境でしたでしょうかね。貧しい生活でも物をみる眼の確かさには、心が洗われます。自然と向き合う彼の姿勢はいつも純粋だったのでしょうね。
自然はうそをつかぬ。自然体でありのままの植物に向かって描かれている絵は吸い込まれそう。大切に自然を守ってほしいものです。そしてもっと大切に。心豊かにみせていただき本当にありがとう。感謝。