一村さんへの手紙 2016年1月

 一村さま
 27年前に一村さんを知り,初めて目にしました時の
感動は今でも忘れられません。
 帰省する度に,観に来ていますが,
その度,感動が変化します。
 心が洗われるような気持ちになるのは毎回です。
なぜでしょうか?美しい自然がそうさせるのでしょうか?
帰る家がある今が幸せです。また来ます。ありがっさまりょうた。
 あけましておめでとうございます。
栃木から来ました。
いつかは絵描きになりたいと思っています。
 ですが,毎日の仕事や家事や疲れで,
とてもとても心からの絵が描けそうにありません。
 まず,部屋を片付けてから…いろいろ人のせいなどにして
もう自分は年をとる一方です。
 でも一村さんは,実行に移し絵を描いたのですね。
素晴らしい絵を残していただき,
本当にありがとうございます。私もいつかあきらめずに
心残りのないよう一枚でも描きたく思います。
 念願がかない,この記念美術館に来ることができました。
 きっかけは,1985年だったと思いますが,
NHKの「新日曜美術館」で一村の奄美での作品が
紹介された番組を見たことでした。
 それ以来,一村のファンになりましたが,
偶然,一村は私の中高の42年先輩で
あることも分かり,一層身近に感じておりました。
 奄美にあける孤高の生き方に,勇気を頂き,
日々の糧としております。
 宮城県に住む者です。だいぶ昔に
日曜美術館の「黒潮の画布」で初めて貴男の
絵にあって以来ずっとファンでした。
 50才で奄美の地に移り住み,孤独と清貧の中で
素晴らしい絵を残して,あなたの人生は
私に大いなる力を与えてくれました。
 今回は5回目の来館です。
いつも新鮮な気持ちにしてくれます。
あの世でお会いできることを楽しみにしています。
 テレビで田中一村の絵をみて
どれ程,興奮したか分かりません。
 75才ですが…これ程,感動できる事は嬉しいことです。
 とにかく美術館に行きたい!その一念の一言でした。
でも遠すぎました。
ところが主人が一緒に行こうといってすぐに手配をして
今日到着,真っ先に絵を観に参りました。
 横浜で一村の本を読むだけでも眠れない程すごい…
と思っていたのに,実際の目にふれる事が出来たとは…
主人に感謝です。
 さて,今からまだまだある一村の絵を観にゆっくりと夢の中に
ひたって来ます。帰りにもう一度訪れる予定です。
幸せです。ありがとうございます。